窓ガラスや車などを風雨から守ってくれるシャッター。近年の異常気象を考えても、設置しておくと安心感が違います。
そんなシャッターを新たに設置する際、また長く使っているシャッターを修理・交換する際、気になるのが耐用年数ですよね。
この記事では
「シャッターって何年くらい使えるの?」
「修理費用はどのように計上するのが正解?」
といった気になるギモンにお答えしていきます。
さらに、シャッターの耐用年数を知る上で合わせて知っておきたい勘定項目や減価償却、固定資産税についても取り上げますので、基礎的な部分から把握したいという方はぜひチェックしてみてください。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
シャッターの耐用年数
シャッターの耐用年数は種類によって違い、7〜15年です。さらに、1日の開閉回数などによっても差が出てきます。
シャッターの種類別耐用年数
では、シャッターの種類別耐用年数を見ていきましょう。ものによって耐用年数はさまざまです。
種 類 | 年数の場合 | 回数の場合 |
重量電動式シャッター | 15年 | 10,000回 |
重量手動式シャッター | 15年 | 2,000回 |
高速シャッター | 15年 | 10,000回 |
高速シャッター | 15年 | 10,000回 |
高頻度グリルシャッター | 10年 | 300,000回 |
高速高頻度シャッター | 10年 | 300,000回 |
ブロードシャッター | 15年 | 10,000回 |
軽量シャッター | 10年 | 5,000回 |
窓シャッター | 10年 | 7,000回 |
クイックセーバーN12 | 7年 | 500,000回 |
オーバースライダー電動・手動式 | 10年 | 10,000回 |
高頻度オーバースライダー | 7年 | 300,000回 |
シャッターやオーバースライダーについては、基本的に50以上もの部品から作られています。
こうした部品にはそれぞれ「設計耐用年数・回数」が設定されており、その耐用年数・回数を超えた部品については、点検結果にもとづき部品の交換が必要になりますので確認しておきましょう。
「10年」になる場合の使用頻度
併せて、耐用年数と回数の相関に関しても把握しておきましょう。
耐用年数が「10年」の場合の回数ですが、軽量シャッターは1日2回ほど、窓シャッターは1~2(1.4)回ほどの開閉なら10年経つまで使える計算になっています。
このため、上記より多く開け閉めするようなシャッターの場合は、表記の耐用年数より早めに修理などの対応をしたほうが良いでしょう。
「木造」かどうかでも異なる
住宅等でよく用いられる木造建築の場合、主に軽量シャッターと窓シャッターが設置されます。
軽量シャッター・窓シャッターの耐用年数については上記表の通り10年、耐用回数は軽量シャッターが5,000回・窓シャッターが7,000回です。
一方、木造ではない鉄骨造や鉄筋コンクリート造については、軽量シャッター・窓シャッターだけでなく重量シャッターも設置の対象となります。
重量電動式シャッターの場合の耐用年数は15年(10,000回)となります。
耐用年数にかかわらず、修理したほうが良い場合
耐用年数はそれぞれシャッターごとに決まっていますが、その年数になるまで確実に使えるというわけではありません。
もし、
- 開け閉めの際に変な音がする
- スムーズに閉まらない
- 閉まる際に傾く
などの違和感があればすぐに業者やメーカー担当者へ連絡してください。
自分で修理しようとしたり、そのまま使い続けようとしたりすると思わぬ事故につながる可能性があります。十分に注意しましょう。
なお、シャッター設置から1~2年以内であれば品質保証期間で無償修理をしてもらえる場合もあります。気になることがあれば、まずは問合せをしてみてください。
シャッター寿命を長くするためにはメンテナンスが重要
上記のように、耐用年数で定められている期間よりも早くに修理が必要になる場合があるシャッター。できるだけ長く使うためには、定期的なメンテナンスが必須となります。
ここでは、誰でもかんたんにできるシャッターのメンテナンス方法を紹介します。
シャッターを長持ちさせる掃除方法
シャッターは日常的なメンテナンスと大掃除で、こまめに掃除していきましょう。ポイントは下記のとおりです。
- 週に1度、シャッターを閉めた状態で内側と外側を乾拭きする。
- 泥などの汚れがある場合は、水拭き→乾拭きしておく。
- 半年に1度、大掃除として薄めた中性洗剤とスポンジでやさしく洗う。
このとき、シャッターケースに洗剤や水が入り込まないよう注意しましょう。
シャッターにはシリコン系のスプレーがおすすめ
メンテナンスの一環で、シャッターの滑りをよくするために注油を行いたい場合、シリコン系スプレーをガイドレールにかけるようにしてください。
グリスや潤滑油はベタベタするため、逆にホコリやゴミがつきやすく不良の原因になります。また、シャッターそのものの素材を傷める場合もあります。
あくまで、シリコンスプレーもかけすぎは禁物。音が気になる・滑りを良くしたい部分にピンポイントで使うようにしましょう。
修理時のポイントは「修繕費」になるかどうか
シャッターを修理する際は、基本的に修繕費で計上できます。ただし、すべてを修繕費にできるわけではありません。
修繕費ではなく基本的支出になる場合、一時の必要経費になりませんが、固定資産つまり減価償却資産の取得として、減価償却を通じて必要経費にすることが可能です。
まずは、修繕費になる場合・基本的支出になる場合の違いについて知っておきましょう。
どのような場合は「修繕費」になる?
シャッターの純粋な「修理」であれば、原則は修繕費になります。
ここでキーワードとなるのは「原状回復・維持」です。詳しく見ていきましょう。
原状回復・維持のための修理
修繕費として計上できる費用は、購入した時の状態を維持する、または以前と同じ状態に戻すための修理に関わる部分です。
たとえば、シャッターの修理なら以下のものが修繕費に含まれます。
- 電動シャッターのモーター等、消耗する部品の交換
- 色が剥げた部分の塗装、塗り直し
- サビ落とし
- モーター部分への油さし
- 台風で曲がったシャッターをもとの状態に戻す修理
これらのように、もとの状態に戻す・新たな価値を加えていないという場合は修繕費にできます。
その他「修繕費」になる場合
また、支出した金額がその固定資産の前年度終了時における取得価額の約10%以下であるときも修繕費にできます。
つまりシャッターの交換に15万円かかっても、もとのシャッター価格が150万円なら修繕費にできます。
この取得価額とは、本体の価格+付随費用で判断します。
「基本的支出」となるのはどんな場合?
一方、原状回復でなく、新たな機能や価値を加えた場合は基本的支出となります。
たとえば、
- 修理ついでにより高性能なシャッターに替えた
- モーターの部品を交換する際、もとの部品より高価なものにした
といった場合は基本的支出として計上しなければなりません。
基本的支出の場合は、一時の必要経費とならないため、固定資産(減価償却資産)の取得として減価償却を通じて必要経費にしましょう。
どちらか分からない場合は?
自身が行った修理が修繕費になるのか判別できない場合、以下のような基準で区分することも可能です。
- 修理の費用が1件当たり20万円未満の場合
- 3年以内の期間を周期として行われる修理の場合
- 退出時の原状回復費用
このような場合は修繕費として計上できることが多いです。
資本的支出については、「修繕」や「改良」といった項目名でなく、実際の内容で判断されます。
どちらになるのか自身で判断できない・不安がある場合は、管轄の税務署に相談してみましょう。
シャッターの減価償却について
ここで、基本的支出になる場合に押さえておきたい減価償却(げんかしょうきゃく)についても見ておきましょう。
減価償却は「建物や設備などの固定資産は、法的耐用年数の間に徐々に価値を消費していき、その年数が過ぎると価値が0になる」という考え方です。
なお、下記国税庁の発信文書にもあるように、シャッター部分については基本的に建物として計上します。
『別表第一の「建物附属設備」に掲げる「エヤーカーテン又はドアー自動開閉設備」とは、電動機、圧縮機、駆動装置その他これらの附属機器をいうのであって、ドアー自動開閉機に直結するドアーは、これに含まれず、建物に含まれることに留意する。』
出典:国税庁
このため、シャッターの耐用年数は、減価償却の観点で見ればシャッターが設置されている建物と同じと考えるのが原則。
つまり、減価償却の考え方においては、シャッターそのものの耐用年数でなく、シャッターを設置する建物の耐用年数に応じて考えます。
シャッターにも固定資産税がかかる
シャッターにも固定資産税がかかることはご存知でしょうか?固定資産税とは、毎年1月1日付で土地や家屋を所有している者に課される税金です。
固定資産税がかかる理由
固定資産税(償却資産)の対象となる「家屋」の定義としては、以下の3つがあります。
これをシャッター付き倉庫に当てはめると、
- シャッターにより外気を分断できる(外気分断性)
- 安易に移動できない(定着性)
- 倉庫としての役割を果たしている(用途性)
というように「家屋」の3つの条件を満たしています。このため、シャッターも固定資産税の対象になるのです。
原則、固定資産税は建物の価格に比例して上がります。このため、建物に付随するシャッターの価格についても、固定資産税の価格に影響してくるのです。
固定資産税がかからない例外はある
たとえば、シャッターのついた簡易的な倉庫をホームセンターなどで購入した場合、自分で動かせる程度の大きさなら定着性はないため家屋として扱われず、固定資産税の対象外になるといった例外もあります。
まとめ
シャッターは耐用年数・回数を踏まえ、計画的に修理・メンテナンスをすることが大切です。耐用年数を気にせず使用してしまうと、思わぬ事故やトラブルの原因になる可能性があるため注意してください。
また修理する場合、どんな場合でも修繕費として計上できるわけではありません。どのような場合が修繕費になり、基本的支出になるのかを踏まえて判断していきましょう。